皮質・部位名 | 役割 | 側性化 | |||
大脳皮質 | 前頭葉 | 眼窩前頭皮質 | 思考や判断の中心的な役割。 | 左脳は、 知覚、思考、 判断、意思、 感情を司る。 (論理的思考) 右脳は、 本能や自律神経、 感性・記憶を 司る。 (感覚的思考) |
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前頭連合野 | 各連合野の情報判断実行。 | ||||
前頭眼野 (前頭眼窩野) |
眼球の随意運動指示。 情動・動機づけ。 |
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運動連合野 | 運動の司令塔。 | ||||
一次運動野 | 手足・顔・体幹の運動を司る。 | ||||
ブロ―カ野 | 言語処理、音声言語の処理 (言葉を作りアウトプット)。 |
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頭頂葉 | 一次体性感覚野 | 身体の感覚、温痛感、触覚の 中枢。 |
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頭頂連合野 | 視覚・感覚・言語の情報統合、 空間・時間の認識・判断。 |
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角回 | 言語理解、連想記憶部分。 | ||||
縁上回 | 音韻のワーキングメモリ。 | ||||
味覚野 | 味覚情報の受取。 | ||||
側頭葉 | 聴覚野 | 聴覚情報の受取。 | |||
側頭連合野 | 視覚・聴覚・色、形、音の認識。 | ||||
ウエルニッケ野 | 感覚性言語中枢(インプット)。 音声言語を理解、認識する。 |
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島皮質 | 行動の知覚と関係。 | ||||
後頭葉 | 視覚連合野 | 形態、空間、イメージ画像を 担当。 |
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視覚野 | 視覚情報の受取。 | ||||
脳 梁 | 右脳・左脳の情報をつなぐ。 |
大脳(だいのう)は、部位によって組織構造が異なり、それに対応して機能も異なっています。大きく分けると3つの構造からなります。 ・大脳皮質:表層の灰白質。 ・白質:大脳皮質の下に存在する神経線維の束。 ・大脳基底核:大脳の中心部で間脳の周囲を囲むように存在。 で論理的思考を司る。 右脳と左脳 大脳は右半球と左半球で機能が大きく異なります。言語中枢があるほうを優位半球、ないほうを劣位半球と区分されています。通常右利きの人は、左脳が優位半球、左利きの人は大半が右脳が優位半球です。優位半球は生まれた時から決まっている様です。 厳密に優位半球がどちらかを調べる必要がある時は、アミタールテストという検査法があります。 左脳は文字や言葉など論理的な事柄、言葉や文字の認識などを行います。理屈的なものを考えているときには 左脳の活動が活発になり、芸術的な絵を見たり音楽を聞いたりしているときには右脳の活動が活発になることが観測されています。 右脳は視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚など五感を通した感性・感覚を司り、瞬時に直感的にかつ総合的に外部情報を認識し判断すると考えられます。 トランペットなどの金管楽器の音を聞く時は右脳が活発になり、琴や尺八など和製楽器の音を聞く時は左脳が活発になるという報告があります。 |
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![]() ![]() ![]() 大脳皮質の位置 出典画像:Anatomography |
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ペンフィールド、ホムンクルスの脳地図には、様々な身体部位が正確に皮質上にマッピングされています。 一次運動野の外側部は上から順に、尻、胴、肩、肘、手首、指、親指、まぶた、唇、顎と配置されています。 大脳縦裂内(下記項参照)に折りたたまれた運動野の内側部は脚部に相当。 |
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![]() 出典画像:Wikipedia Commons |
大脳皮質の神経細胞の数はおよそ100億から180億くらいあり、一般には平均値をとって大脳皮質の神経細胞の数140億個であるとされています。 大脳皮質の神経細胞数は、チンパンジーで80億、アカゲザル(ニホンザルの仲間)で50億とされています。 注意すべき点は、大脳皮質の神経細胞の数であり、脳あるいは中枢神経(脳と脊髄)全体の数ではないということです。大脳の内側には神経細胞の集まった神経核があり、小脳や脊髄にも沢山の神経細胞があり,小脳だけでも1,000億以上の神経細胞があるという概算もあります。 従って、中枢神経全体の神経細胞の数は1,000億と2,000億の間と推定されています。 |
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前頭葉(ぜんとうよう)は、前頭前野の両側、大脳半球の前部に存在し、頭頂葉の前側、側頭葉の上前方に位置します。前頭葉と頭頂葉の間には一次運動野が存在。一次運動野は特定の身体部位の随意運動を制御しています。 大脳皮質のドーパミン感受性ニューロンの大半は前頭葉に存在し、ドーパミン系は報酬、注意、長期記憶、計画や意欲と関連付けられています。人格を作ったり、感情をコントロールしたり社会性を作ったりしていると言われています。前頭葉がダメージを受けると怒りっぽく成ったり、理由もなく隣の人を殴ったり、町を徘徊したりする症状が出ると言われています。ドーパミンは、視床から前頭へと伝えられる感覚情報の制限、及び選択に関連しているとされています。 優位半球の前頭葉前半部は、思考、自発性(やる気)、感情、性格、理性などの中心です。病気や怪我で優位半球の前頭葉が障害されると、これらの機能が低下します。具体的には、几帳面な人がだらしなくなったり、幼稚になったり、極端な例ですと目はあけているけど一日中ボーッとして何もしない状態になります。 両側の前頭葉の後半部は体を動かす一次運動野(いちじうんどうや)という部分があり、体(手足ほか)を動かす命令はここで出されて、脊髄を経由して手足に送られます。この命令が通る道は途中で左右が交叉して、右側の運動野は左半身を、左側は右半身を支配しています。病気で右の運動野が障害されると左半身が動かなく(麻痺)なります。 前頭葉の持つ機能 (executive function) は、現在の行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、物事の類似点や相違点の判断に関する能力と関係しています。 課題に基づかない長期記憶の保持における重要な役割も担って、側頭葉に貯められた記憶を引き出す作用があると考えられています。 それらはしばしば大脳辺縁系からの入力に由来する情動と関連付けられた記憶です。前頭前野では、恐怖心、悲しみ、不安などの情動を起こす扁桃体の暴走を抑制します。抑制が出来ないと”うつ病”になる可能性が高いと示唆されています。 優位半球の前頭葉の下の方には、運動性言語中枢野(ブローカ野)Broca's areaがあり、言語処理(話す事)、及び音声言語の中枢で、ノド、唇、舌などを動かして言語を発する役目を担っています。この部分が障害されると、言葉を理解していても話せなくなります。(失語症)また、下頭頂葉においてミラーニューロン (Mirror neuron)共感(他人の行動をみて自分の行動の様に感じる事が出来る。人の心を読み取る事が出来る)能力を司っている活動が観測されています。 |
![]() 前頭葉の片側の位置 出典画像:Anatomography |
眼窩前頭皮質(がんかぜんとうしひしつ)は、人の脳の中でも最も理解が進んでいない領域です。しかし、この領域は、感覚情報の統合、表現、意思決定や期待に関連し、報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御していると提唱されていて、情動・動機づけに基づく意思決定に重要な役割を果たしている。 視覚、聴覚、感覚とともに味覚、嗅覚情報も収斂していて、扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがある。 意思決定場面で、論理的な道筋に沿うよりも、知識、文脈、期待、その時の感情などに依存した、直感的でヒューリスティックな意思決定を行う傾向にあります。この様な意思決定に前頭眼窩野を中心として、前頭前野腹側(底面)が重要な役割を果たしている。 眼窩前頭皮質の損傷は、一般的にある種の脱抑制行動を引き起こす。 例えば、過度に悪態をつく、性欲過多、社会的対話の欠如、賭博への衝動、アルコール、煙草、薬物の摂取過多、共感能力の欠如などが起きる。ある種類の前頭側頭型認知症 (frontotemporal dementia) 患者の脱抑制行動は眼窩前頭皮質の変性が原因であるとされています。眼窩前頭皮質に損傷を受けた患者は、衝動的な決断や、経済感覚の欠如などの症状が起きます。心的外傷後ストレス症状(Posttraumatic stress disorder:PTSD)は、前帯状皮質が小さいと発症しやすく、発症後眼窩前頭皮質が萎縮することを東北大学加齢医学研究所のグループが解明した。 PTSDは、地震、洪水、火事のような災害、または事故、戦争といった人災。いじめ、テロ、監禁、虐待、強姦、体罰などの犯罪、つまり生命が脅かされたり、人としての尊厳が損なわれるような多様な原因によって生じうる。多種多様な日常の問題に原因があったりもします。出現症状は、精神的不安定による不安、不眠などの過覚醒症状。 ・トラウマの原因になった障害、関連する事物に対しての回避傾向。 ・事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わる追体験(フラッシュバック)。 患者が強い衝撃を受けると、精神機能はショック状態に陥り、パニックを起こす場合があり、精神統合性の問題から身体的、心理的に異常信号が発せられる。 そのため、不安や頭痛・不眠・悪夢・腹痛・吐き気などの症状を引き起こす場合があります。 心理療法で、EMDR(Eye Movement Desensitization and Retrocession)療法、過去の外傷体験を思い出させて眼球を左右に動かす療法です。治療効果のメカニズムは解明の途上ですが、脳の処理プロセスが促進されることは大変興味深い。 情動(感情)に関連した回路としてヤコブレフ回路が知られている。 扁桃体 → 視床背内側核 → 前頭葉眼窩皮質後方 → 側頭葉前方 → 扁桃体という閉鎖回路をYakovlevの回路または基底・外側回路という。 |
![]() 眼窩前頭皮質の位置 出典画像:Anatomography |
前頭連合野(ぜんとうれんごうや)は、情動のコントロールや、論理的な判断、将来の予測、判断、行動計画に必要な情報を側頭連合野や頭頂連合野から受け取り、複雑な行動計画を組み立て、その実行の判断を行う。 視覚的に与えられた目標への眼球運動の制御もこの領域で行われています。 頭頂連合野、 側頭連合野、視覚連合野、また、視床、辺縁系、視床下部、尾状核、中脳網様体などからも情報連絡を受けて、双方向で情報のやり取りを行っています。 前頭連合野は大脳皮質の約30%を占め、成長は20歳位まで続くと言われています。 神経伝達物質はドーパミン、セロトニン、ノルエピフリンなどが挙げられ、ドーパミンとノルエピフリンは前頭葉に最も多く分布し、多すぎても、少なすぎても思考力に障害が生じるとされています。 |
![]() 前頭葉、前頭連合野・前頭眼野・運動連合野・運動野・ブローカ野の位置 |
前頭眼野(ぜんとがんや)は、視覚野・聴覚野・体性感覚野・味覚野・嗅覚野から情報を受けている。 また、扁桃核、海馬、視床下部、線条体とも密接な結び付きがあり、情動・動機づけに関係している。 眼球の随意運動指示、ヒューリスティック(直感的な意思決定)は、前頭眼窩野を中心として、前頭連合野内側部の下方の一部を含む前頭前野腹側の前の方が重要な役割を果たしている。 多幸症、楽天化、無関心、無頓着などの性格・感情の変化を起こす症例では、前頭眼窩野の損傷が著明です。 情動・動機づけ機能は神経伝達物質のドーパミン,セロトニン、ノルエピネフリン、GABA(ガンマアミノ酪酸)などによって支えられている。その中でセロトニンはこの脳部位の情動機能を支えるのに最も重要な神経伝達物質である。 うつ病は前頭眼窩野のセロトニンの働きの異常が関係していると考えられいて、うつ病治療に用いられる薬物の多くは前頭眼窩野のセロトニンの働きを高めるように作用する。 セロトニンの前駆物質であるトリプトファン成分だけ除去した食事を続けると、回復していたうつ症状がぶり返す場合があることが知られている。 健常人にトリプトファンを除去した食事をしてもらうと、前頭眼窩野の損傷患者で見られるように、攻撃的傾向が増したり、逆転学習の障害が見られたりする。 |
![]() 前頭葉、前頭連合野・前頭眼野・運動連合野・運動野・ブローカ野の位置 |
一次運動野(いちじうんどうや)は、運動連合野と共同して運動の行動を行う。 背筋につながる長い神経繊維を持った細胞が多く存在し、この神経繊維はアルファ運動神経細胞と呼ばれる筋肉に接続した神経細胞とシナプス接続しています。運動野は行動の計画 (大脳基底核と共同して) と感覚情報に基づく運動の最適化 (これには小脳の働きが必要) に関わっています。 運動伝達出力: 前頭前野(前頭連合野)→ 高次運動野(運動連合野) → 一次運動野 → 錘体路 。 |
![]() 一次運動野の片側の位置 出典画像:Anatomography |
ブローカ野(ぶろーかや)は、運動性言語中枢と呼ばれ、言語処理、音声言語、手話の産出と理解に関わっています。単純に言えば、言葉を理解して(下前頭回の三角部)ノド、唇、舌などを動かして言語を発する(弁蓋部)役目を司っています。 言語に関係する皮質は、ブローカ野(言葉を作りアウトプット)・ウェルニッケ野(音声言語を理解、認識インプット)・左角回(言語理解、連想記憶)・左縁上回(音韻のワーキングメモリ)など多数の領域が様々な言語要素の処理に関わっている。 右利きの人では言語機能の多くが大脳皮質の左半球で処理され、一方、韻律や談話の処理は、右半球の複数の領域が関わる。 |
![]() 前頭葉、前頭連合野・前頭眼野・運動連合野・運動野・ブローカ野の位置 |
頭頂葉(とうちょうよう)は、後頭葉の上部、前頭葉の後部にあります。 頭頂葉の前部には、顔・手足をはじめとする体全体からの感覚情報が集まる部分で外界の認識に関わっています。敏感な指先などの部分の感覚野は広く、背中など感覚が鈍い部分の感覚野は狭くなっています。 この感覚野で集めた情報を頭頂葉全体で処理して、触った物などを認識しています。 たとえば、ポケットに入れた小銭を手で触って、見なくても100円玉などがわかるのは、指先の感覚情報を頭頂葉で処理して、100円玉と認識できるからです。後述する後頭葉からの視覚情報も頭頂葉で統合されイメージ(映像化)して外界の認識を行っています。 異なる感覚から感覚情報の統合を行っており空間感覚と指示の決定を担っています。 頭頂葉は4つの境界によって定義される。中心溝は前頭葉との境界、頭頂後頭溝は後頭葉との境界、外側溝は側頭葉との境界、そして大脳縦裂は左右の大脳半球の境界を作っています。 後頭頂皮質はさらに、上頭頂小葉 (ブロードマンの脳地図における5野と7野) と下頭頂小葉 (ブロードマンの脳地図における39野と40野) に、頭頂間溝 によって分けられます。頭頂間溝とそれに隣接する脳回は四肢と眼球運動の指示に重要な役割を持ちます。 |
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![]() 頭頂葉の片側の位置 出典画像:Anatomography |
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頭頂葉は身体の様々な部位からの感覚情報統合や、数字とそれらの関係に関する知識、対象の操作などに関する機能に重要な役割を持ちます。頭頂葉の一部は視覚空間処理に関わっているともされています。 | |
![]() 上頭頂小葉頭の位置 出典画像:Anatomography |
![]() 下頭頂小葉の位置 出典画像:Anatomography |
一次体性感覚野(いちじたいせいかんかくや)は、大脳縦裂、中心溝、外側溝(下記項参照)、頭頂葉にある中心後溝を含む、触覚の主要な感覚受容野です。大脳縦裂(だいのうじゅうれつ)の内側に位置。 中心溝(ちゅうしんこう)は、頭頂葉と前頭葉の境界あり、中心溝の前壁は一次運動野となっており体の各部位へ筋肉を動かすための信号を出力しています。後壁は一次感覚野となっており、体の各部位から感覚情報の連絡を受ける領域とされています。外側溝(がいそくこう)は、聴覚野の主要部位である横側頭回を含みます。 近年 右脳の感覚野に記憶されているトラウマ体験(心的外傷、PTSD)の記憶を思い出すと大脳連合線維と感覚野が活性化され、(感覚野は危険にさらされた時に身を守る働きもします)この部分が活性化されると理性的に考えたり情報を処理する領域を司る左脳の機能が低下し、思い出すたびに体が緊張状態に成り思考力が低下。その事が、体、心に様々な悪影響を及ぼし、不随意運動、抑うつ症状、双極性障害、不安障害、薬物依存を併発するとの報告があります。驚くことにPTSDの原因となる出来事を思い出しながら左右の目を動かすことで緩和されるとの報告があります。 (Eye Movement Desensitzation and Reprocessing:EMDR)治療。 |
![]() 一次体性感覚野の位置 出典画像:Anatomography |
頭頂連合野(とうちょうれんごうや)には、体性感覚情報、後頭葉からの視覚情報、側頭葉からの聴覚情報、複数の感覚情報が統合される領域です。 体性感覚情報より自己身体情報をもとに、自己の空間・運動知覚や対象物と自己との相互関係などの情報処理が行われ、視覚情報により空間知覚、運動知覚に関わる処理が行われている。また、 運動前野と結びついた運動の発現や調節などの機能、前頭前野機能と結びついた注意の制御が行われていると言われています。 |
![]() 感覚野・頭頂連合野・味覚野の位置 |
味覚野(みかくや):味覚情報は、延髄、視床、味覚野を通り、前頭連合野まで到達。同時に視床下部や扁桃体にも情報が送られます。 味覚野で味の質や強さを判断し、咀嚼や視覚、聴覚などの情報が前頭連合野で統合され、食物の認知や好き嫌いなどが判断されます。 |
![]() 感覚野・頭頂連合野・味覚野の位置 |
「おいしさ」の自覚するメカニズム: 食事の味や環境、雰囲気などを記憶している扁桃体が重要で、大脳辺縁系・大脳連合野と連携して過去の記憶や情報と照合して認知、判断。視床下部・扁桃体・大脳からの情報を受けて、食欲、飲水、性行動、体温、情動、内分泌といった働きを調節。脳での情報伝達の連係プレーにより、食行動、「おいしさ」の認知が行われます。 |
角回(かくかい)は、身体の感覚(頭頂葉)、聴覚・記憶(側頭葉)、視覚(後頭葉)を司る皮質に囲まれた位置にあり、言語、認知に関わり視覚刺激を言語化することに関していると考えられている。 角回が損傷すると失語症と呼ばれる読みの障害が生ずることが知られている。 言語に関係する皮質は、ブローカ野(言葉を作りアウトプット)・ウェルニッケ野(音声言語を理解、認識インプット)・左角回(言語理解、連想記憶)・左縁上回(音韻のワーキングメモリ)など多数の領域が様々な言語要素の処理に関わっている。 角回の刺激が体外離脱体験を引き起こす可能性を示したものがある。 背後に存在する幻影を感じたり天井にいるような感覚になる。身体が実際に存在する位置と意識が知覚している身体の位置との不一致。 |
![]() 角回の片側の位置 出典画像:Anatomography |
縁上回(えんじょうかい)は、音韻処理、言語性短期記憶に関わると考えられています。 また、ブローカ野、ウェルニッケ野、左角回などと関係して言語要素の処理に関わっている。 左角回と左縁上回は、語彙や意味処理に関連付けられ、音声情報と語彙意味情報との統合を担っている。 言語に関係する皮質は、ブローカ野(言葉を作りアウトプット)・ウェルニッケ野(音声言語を理解、認識インプット)・左角回(言語理解、連想記憶)・左縁上回(音韻のワーキングメモリ)など多数の領域が様々な言語要素の処理に関わっている。 |
![]() 縁上回の片側の位置 出典画像:Anatomography |
側頭葉(そくとうよう)は、言語、記憶、視覚、聴覚に関わって、位置は脳の両側面、外側溝の下に存在。 聴覚処理に関わり、一次聴覚野の本拠地でもあります。また、音声や文字の意味、人の顔や思い出の記憶にも強く関わっています。 優位半球の側頭葉上部には言葉を理解する部分があり、この部分が障害されると音は聞こえていても言葉として理解できなくなります。いわば知らない外国語を聞いているような状態です。劣位半球の側頭葉には言語に関する部分はないと考えられています。 記憶に関わる部分として海馬(かいば)からの入力が関連しており、海馬が障害されると記憶の保持が難しくなり何でもすぐに忘れてしまいます。海馬はアルコールに弱い部分で酔っ払うと海馬の機能が低下して記憶を保持できなくなります。痛飲した後にちゃんと家に帰ってきているのに、どこをどう通って帰ってきたか、なにをしたかなにも覚えていないといは、アルコールで海馬機能が低下したために起こると考えられています。記憶ができなくなる健忘症は、海馬が要因とすると考えられています。 視覚情報は、目 → 視床 → 後頭葉から分割され → 大脳新皮質に送られ あらゆる部分で解析、側頭葉で認識されます。 側頭葉は記憶の貯蔵庫で、シルヴィウス溝(側頭葉と前頭葉・頭頂葉を分ける場所)を刺激すると魂が抜けた感覚を覚え、幽体離脱経験や家族、知人と言った自分を愛してくれた人たち、風景、光が出現する事は知られています。 情動(感情)に関連した回路としてヤコブレフ回路が知られています。 扁桃体 → 視床背内側核 → 前頭葉眼窩皮質後方 → 側頭葉前方 → 扁桃体という閉鎖回路をYakovlev回路または基底・外側回路といいます。 |
![]() 側頭葉の片側の位置 出典画像:Anatomography |
側頭連合野(そくとうれんごうや)は、形の認知、聴覚(音)の認知、色の認知と記憶、判断を司っています。 |
![]() 側頭葉、側頭連合野・聴覚野・ウエルニッケ野の位置 |
聴覚(音)に関わる、聴覚伝導路の最高中枢。視床の内側膝状体から聴放線を通じて信号を受けています。 感覚皮質領域と同様に、音の感覚はそれが大脳皮質領域に伝わり、処理されて初めて知覚されます。 この皮質領域は聴覚、言語、音楽の処理の神経的な要所となっている。 音高や音量、ハーモニー・メロディ・リズムのパターンの処理、音楽の全体的な体験へと統合する役割を担う と推測されている。 |
![]() 側頭葉、側頭連合野・聴覚野・ウエルニッケ野の位置 |
ウエルニッケ野(うえるにっけや)は、知覚性言語中枢とも呼ばれ、他人の言語を理解する働きをしています。 言語に関係する皮質は、ブローカ野(言葉を作りアウトプット)・ウェルニッケ野(音声言語を理解、認識インプット)・左角回(言語理解、連想記憶)・左縁上回(音韻のワーキングメモリ)など多数の領域が様々な言語要素の処理に関わっている。 |
![]() 側頭葉、側頭連合野・聴覚野・ウエルニッケ野の位置 |
島皮質(とうひしつ)は、脳の外側面の奥、側頭葉と頭頂葉下部を分ける外側溝の中に位置している。 前部と後部では細胞構造が異なります。前部は視床の内側腹側核基部 から直接の投射を受け、扁桃体の中心核からの強い入力を受ける。また、扁桃体への投射します。 後部は二次感覚野 と相互に接続しており、脊髄視床路によって活動が引き起こされた視床の下後腹側核からの入力を受け運動における目的のための行動の知覚と関係していると示唆されています。また、視床の内側腹側核の後部からの入力を受けることも示されています。 視床の内側腹側核は痛み、気温、かゆみ、周りの酸素の量、性的な感触などの、情動や恒常性に関する情報を担って、前端部は、辺縁系との関連があると考えられている。 島皮質は、身体表象と主観的な感情の体験における役割に注目されています。 この領域が意識的な感情を生み出す情動の体験に関連し、直感的な状態の役割を持つ。 島皮質前部は嗅覚、味覚、内臓自律系、及び辺縁系の機能により強く関わり、後部は聴覚、体性感覚、骨格運動とより強く関わっている。 痛みの体験や喜怒哀楽や不快感、恐怖などの基礎的な感情の体験に重要な役割を持つことが示唆されている。 (安心感があるとストレス、痛みが抑制される) 島皮質は視床を介して恒常性に関する求心性の経路から入力を受け、扁桃体や線条体腹側部や、前頭眼窩野など他の多くの辺縁系に関連した領域に出力。また、瞑想する人は右の島皮質後部が有意に厚いことが示されています。 |
![]() ![]() 島皮質の位置 出典画像:Anatomography |
2013年8月に自然科学研究機構生理学研究所 研究グループは、痒(かゆ)みを想像させる写真を見せたときの脳の活動を、磁気共鳴断層画像装置(fMRI)を使って調べ、その結果、痒みを想像できる画像を見たときには、情動をつかさどる島皮質の活動と、運動の制御や欲求をつかさどる大脳基底核の活動の間で相関性が高まることを明らかにした。すなわち、島皮質と大脳基底核の機能的なつながりが強化され、それが原因で掻きたくなると考えられると言う研究発表があった。 |
後頭葉(こうとうよう)は、大脳半球の最尾側に位置します。 視覚形成の中心で視空間形成や色識別、運動把握といった様々な視覚形成の機能に特化。 (視覚や色彩の認識) 目から入った情報を眼球の網膜からの感覚刺激は視神経を通って視床の外側膝状体に入り、そこから大脳半球内部の視放線を通って後頭葉の一次視覚野に送られ頭頂葉と協力して人の顔や物の形、色などを認識。 視覚情報は、多量のため視覚情報を予測して補う補完が起る事が知られています。(視覚の錯覚現象)錯覚は、過去の経験記憶、身近な情報から導かれていると考えられています。 また、視覚情報だけでなく聴覚(音)、触覚(体性感覚野)、臭覚情報によりイメージ(映像化)情報を視覚野で作り出すと推測されています。 |
![]() 後頭葉の片側の位置 出典画像:Anatomography |
後頭葉は4つの大脳葉の中で最も小さく、頭蓋内で最も後方に位置。後頭葉は大脳と小脳の間を仕切る硬膜である小脳テントに接しています。また 大脳縦裂によって左右それぞれの大脳半球に分かれています。 前方には頭頂後頭溝があり、これを境に頭頂葉と接しています。側面では後頭葉と側頭葉の境界はあいまいです。 |
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通常、眼の「網膜」で見た情報は、「視床」を経由して、「視覚野」に送られ、「見ている」として意識されます。自然科学研究機構・生理学研究所の吉田正俊 助教・伊佐正 教授らの共同研究チームは、「視覚野」が障害を受けた場合には、中脳の「上丘」を介して脳の中に無意識に情報が伝わっていく事を発見した。 |
視覚連合野(しかくれんごうや)は、視覚野から受け取った視覚情報を形態視情報(形状、色)、空間視情報(運動と三次元状態)に分け認知される。 また、聴覚(音)、触覚(体性感覚野)、臭覚情報によりイメージ(映像化)情報を視覚野で作り出すと推測されています。 |
![]() 後頭葉、視覚連合野・視覚野の位置 |
視覚野(しかくや)は、外側膝状核(視床の一部で、中枢神経系の網膜から情報伝達)から直接情報を受け取る。視覚路には、背側皮質視覚路と腹側皮質視覚路があり、背側皮質視覚路は、運動、物体の位置や、眼や腕の制御、特に視覚情報を用いたサッカードや到達運動に関連。 ・腹側皮質視覚路は、視覚対象の認識や形状の表象(意識にのぼる映像)と関連。 視覚情報は、視覚連合野へ情報伝達されます。また、長期記憶の貯蔵とも関連。 |
![]() 後頭葉、視覚連合野・視覚野の位置 |
脳梁(のうりょう)は、左右の大脳半球をつなぐ交連線維の太い束です。大脳の正中深い大脳縦裂の底、側脳室の背側壁に位置し、左右の大脳皮質の間で情報をやり取りする経路となっています。神経線維は約2億〜3億5000万と考えられています。脳梁が傷つけられると不随意運動が起る事もあると示唆されています。 MRIによる研究において、脳梁の形、大きさには性差があるという報告がなされており、大脳の容積と比較した相対的な大きさは、男性よりも女性の方が大きい傾向が報告されている。ただし大脳の容積は男性の方が大きく、脳梁の大きさの絶対値には性差がない。 また、脳梁の大きさの性差について、否定的な結果も複数示されている。ただし一部には、脳梁の性差を男女の神経心理学的な差、たとえば言語機能が男性の方が片側優位であるのに対し女性では両側性であることなどと結びつける説がある。 |
![]() ![]() ![]() 脳梁の位置 出典画像:Anatomography |
中心溝(ちゅうしんこう)は、頭頂葉と前頭葉の境界にあります。 中心溝の前壁は一次運動野となっており体の各部位へ筋肉を動かすための信号を出力しています。後壁は一次感覚野となっており、体の各部位から感覚情報の入力を受けとる領域とされています。 |
![]() 中心溝の位置 出典画像:Anatomography |
外側溝(がいそくこう)は、聴覚野の主要部位である横側頭回を含みます。 前頭葉、頭頂葉と、側頭葉を上下に分けています。外側溝は大脳の両半球に存在しますが、左半球のものの方が長い。外側溝はヒトの脳の発生の最も初期に形成される脳溝の1つです。 外側溝は多くの側枝を持っており最も顕著で多くの人で見つかるのは、外側溝上行枝 (垂直枝) と水平枝で、下前頭回を下位領域に分割する。また、外側溝は聴覚野の主要部位である横側頭回を含みます。 |
![]() 外側溝の位置 出典画像:Anatomography |
大脳縦裂(だいのうじゅうれつ)は、左右の大脳半球の間の溝。大脳鎌が間に入っています。大脳縦裂の底には脳梁があり、両側面には大脳内側面の皮質、帯状回などがあります。 |
![]() 大脳側裂の位置 出典画像:Anatomography |
頭頂後頭溝(とうちょうこうとうこう)は、大脳の後方にある脳溝のひとつ。頭頂葉と後頭葉の境界を定める。内側面において、前方が楔前部(けつぜんぶ、大脳の内側面にある脳回のひとつ)、後方が楔部(けつぶ、ヒトの脳にある後頭葉の一部)となる。
頭頂後頭溝の大部分は大脳半球の内側面にあり、上方から下方そして前方へと伸びる深いミゾとなっている。 |
![]() 頭頂後頭溝の位置 出典画像:Anatomography |
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