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難病 パーキンソン病 家内と共に生きる。

パーキンソン病 介護・症状日誌

Fushimi-ku Kyoto city

大脳基底核のおはなしbasal ganglia



大脳基底核の機能・概略

大脳基底核は、大脳皮質と視床・脳幹を結びつけている神経核の集まりで。線条体・淡蒼球・黒質・視床下核からなります。役割は、運動調節・認知機能・感情・動機づけや学習などさまざまな機能を司ります
  (詳細は、表の下線の部位をクリック)


大脳基底核の機能線条体

大脳基底核 の 主な役割 ( 機能 ) 

部位名  役割 
大脳基底核  線条体 身体の随意運動の調節や姿勢、筋肉の緊張を調整など様々な機能を司る。
記憶をもとにした予測や期待に結びつくような運動(行動)に関与、
前頭前野にある運動パターンの中から適切な運動の選択を行っている。
また、眼球運動の制御、辺縁系への制御を行っている。  
淡蒼球
視床下核
黒質 線条体にドーパミンを送り興奮を抑制。
視床へ抑制の出力。
前脳基底部 マイネルト
基底核
アセチルコリン産生を司る。
記憶の減衰、認知症にも関わっており、視覚認知における現実と
仮想現実の比を調節。 



線条体

線条体 「被穀・尾状核」 ( 意思決定を司る部位 )

線条体(せんじょうたい striatum)は、大脳基底核の主要な構成要素のひとつです。
運動機能への関与が最もよく知られています。また、意思決定(依存や快楽)などその他の神経過程にも関わると考えられています。
線条体が機能低下により対人恐怖症、社会恐怖症に成るケースが多いと言われています。
(例:人前に出ると震えたり、手の平に汗をかいたり、顔の筋肉が硬直したりする)

線条体は、背側線条体と腹側線条体に区分されます。

運動系機能を司どる被殻(ひかく putamen)、精神系機能を司る尾状核(びじょうかく caudatenucleus)から構成されていて背側線条体とも呼ばれている。
線条体(被殻と尾状核)は、大脳辺縁系と大脳新皮質からそれぞれ興奮性入力を受けることが知られています。

線条体という名称は、ヒト線条体の尾状核と被殻が内包(大脳新皮質や視床からの軸索線維の束であり白質)によって分断される場所で、互いに連絡している部分が線条 として見えることから命名されました
大脳基底核の機能 大脳基底核の機能大脳基底核の機能
線条体の位置
出典画像:Anatomography
線条体は、大脳新皮質からの運動にかかわる神経伝達物質(グルタミン酸)を受け作動し黒質-緻密部(こくしつ-ちみつぶ)から神経伝達物質(ドーパミン)を受け興奮を抑制。他からは、視床(ししょう)、淡蒼球(たんそうきゅう)外節、視床下核から神経伝達物質の確認が報告されています。

線条体の投射神経細胞(中型有棘神経細胞)で作動。直接路間接路のふたつの経路を構成。直接路と間接路
を構成する神経細胞の比率は、ほぼ同数であると考えらています。

直接路: 大脳皮質-運動野 → 線条体 → 淡蒼球 内節 → 黒質 網様部 → 視床 → 運動野。

間接路: 大脳皮質-運動野 → 線条体 → 淡蒼球 外節 → ①淡蒼球 内節 → 視床 → 運動野。
                         ②視床下核 → 黒質 網様部 → 視床 → 運動野。

黒質線条体神経路
:
黒質 緻密部 → 線条体。

被殻は、強化学習に役割を持っていると見られている。
大脳皮質の運動野と体性感覚野から神経伝達物質(グルタミン酸)を受け、視床の髄板内核、黒質からも神経伝達物質の入力が存在する。
被殻からは淡蒼球と視床を介して、大脳皮質の運動前野と補足運動野への入力も存在。

尾状核は、主に腹側被蓋野 、 黒質-緻密部からドーパミン神経を受けている。また、様々な関連する大脳皮質からも入力を受けている。
学習と記憶のフィードバック処理に強く関わっていること、左尾状核は、言語の理解(単語の理解と調音)に視床と共に関係していること、大脳皮質全体の活動を計測し、閾値となる電位を制御を間接的に行っていると示唆されている。
パーキンソン病での神経伝達( 大脳基底核 ) 
直接経路の低下、間接経路の亢進。その結果、淡蒼球-内節の亢進、視床下核からの興奮性出力が亢進する結果となり大脳皮質-補足運動野の出力が低下。

大脳基底核の機能

             大脳基底核 パーキンソン病の神経伝達ブロック図
・ジストニアの場合は、直接路の活動性亢進により、淡蒼球内節・黒質網様部の抑制が亢進し、その結果、視床の脱抑制が亢進し、運動過多(不随意運動)を生じる。


淡蒼球

淡蒼球 「外節・内節・腹側淡蒼球」 ( 運動機能を司る部位 )

淡蒼球(たんそうきゅう)は、大脳基底核の主要な構成要素のひとつで、外節、内節とに区別されます。
どちらも共にGABA(ギャバ、用語集参照)作動、運動機能への関与が最もよく知られています。
また、意思決定など、その他の神経過程にも関わると考えられています。
大脳基底核の機能 大脳基底核の機能大脳基底核の機能
出典画像:Anatomography

大脳基底核の機能

淡蒼球の位置図
淡蒼球-外節(たんそうきゅう-がいせつ )External segment of globus pallidus; GPeは、線条体からのGABA作動性入力を受けます。外節からのGABA作動の出力は、視床下核および、淡蒼球-内節、黒質-網様部へ入力します。
手や足の不随意運動(ジストニア・ジスキネジア)に関与していると考えられている。

淡蒼球-内節(たんそうきゅう-ないせつ) Internal segment of globus pallidus; GPiは、線条体からのGABA作動入力を受け(直接路)、また淡蒼球 外節からGABA作動入力、視床下核からグルタミン酸作動の入力を受けます(間接路)。
黒質 網様部と共に、大脳基底核の出力核として位置づけられています。

腹側淡蒼球(ふくそくたんそうきゅう)ventral pallidum; VPは、上述の淡蒼球の腹側に位置し、無名質(substantia innominata)の一部を成します。
腹側線条体への入力は、側坐核と嗅結節からGABA作動性の抑制性入力を受けます。
腹側淡蒼球は視床の背内側(MD)核にGABA出力。
MD核からは大脳新皮質の前頭前野へグルタミン酸出力する。
“報酬”を予測し、“やる気”を制御する脳部位の一つであると考えられています。

パーキンソン病では、視床下核が亢進 → 淡蒼球-内節のグルタミン酸受容体の発現が減少して淡蒼球-内節 →視床への抑制性が亢進 → 大脳皮質への興奮性が減弱により運動機能の影響が生ずると示唆されています。



視床下核

視床下核( 大脳新皮質、大脳基底核の中継部位 )

視床下核(ししょうかかく)は、大脳基底核の構成要素の神経核のひとつ。
淡蒼球-外節からGABA作動の入力を受けます。
大脳基底核の(間接路)の構成要素の一部です。ほかに、大脳新皮質から直接グルタミン酸作動の入力があります。視床下核の神経細胞はグルタミン酸作動であり、黒質-網様部および淡蒼球 内節のGABA作動性神経細胞へ興奮の出力を行う他、淡蒼球-外節への投射も知られています。
運動を行う際の動作の微妙な調節を行っているのです。
大脳基底核の機能

視床下核の位置図
パーキンソン病では、視床下核 → 淡蒼球へのグルタミン酸作動性投射の活動性が亢進する事が、運動症状の
発現に重要な役割を果たすと考えられている。
淡蒼球における代謝調節型グルタミン酸受容体の発現が減少し、これは視床下核 → 淡蒼球投射の過剰興奮に対する代償作用を担っている可能性を示唆されている。
DBS療法では、過剰活動を認める、視床下核、淡蒼球内節を電気刺激して、運動回路の異常を是正しようとするのが理論的根拠です。


黒質

黒質 「緻密部・網様部」  (ドーパミン供給部位・脳幹、視床の中継部位 )

黒質(こくしつ)は、中脳の一部を占める大脳基底核の構成要素の神経核のひとつ。
緻密部と、網様部(および外側部)とによって、大きく二群に大別されます。

緻密部(Parscompacta):
線条体にドーパミンを送り興奮を抑制。
神経細胞変性、脱落により線条体へのドーパミン量の減少がパーキンソン病の引き金に成る事が知られています。

網様部(Pars reticulata):
淡蒼球-内節と同様に、線条体からGABA入力(直接路)、淡蒼球-内節からのGABA入力、淡蒼球-外節から抑制の入力、および視床下核から興奮性のグルタミン酸入力を受け、視床へ抑制の出力を行います。

パーキンソン病の運動症状の出現は、Braak仮説によると、抗α-シヌクレイン抗体を用いて高齢者の中枢神経系におけるLewy小体の分布を詳細に検討、Lewy小体はまず嗅球に出現、迷走神経背側核(延髄)、視床と、その後、下部脳幹(橋)、中脳黒質、扁桃体へ上行進展して発現させる。
また、Zaccai博士の報告によると扁桃体に優位にLewy小体が分布しているとの報告もある。
黒質の位置図
    黒質の位置とドーパミン投射部位


中脳の断面図

中脳の断面図



前脳基底核

前脳基底部( アセチルコリン産生の神経細部群、記憶に関与 )

前脳基底部は、無名質・対角回・終板傍回から構成されていて神経核である。
・マイネルト基底核 、・中隔核、・ブローカ対角束核、・ブローカ対角帯水平亜核が存在。
合成酵素であるコリンアセチルトランスフェラーゼを多く含み、アセチルコリン産生に関わっています。

マイネルト基底核は、前脳基底部にある神経細胞群で大脳皮質・扁桃体・視床に神経線維が繋がっており投射。

中隔核(ちゅうへいかく)は、海馬に神経線維が繋がっていて投射。視床下部と相互に連絡しており、扁桃体・帯状回からの連絡を受けている。中隔核は楽しい感覚に関与する神経核とされ、破壊すると怒りに対する抑制がなくなってしまう。

ブローカ対角束核は、海馬に神経線維が繋がっていて投射。

ブローカ対角帯水平亜核は、嗅球節に投射。

アセチルコリン産生が低下と、アルツハイマー病、レヴィ小体型認知症や精神的活動や記憶の減退(健忘)を起こします。(パーキンソン病などで見られる)これらのコリン作動性神経細胞は視覚認知における現実と仮想現実の比を調節することが特に重要な機能。
健忘の記憶障害は、今何をしているのか?、時間は?、場所は?、などの記憶障害と、空想的作話が特徴的。
また、手がかり・ヒントにより記憶が改善する。

アルツハイマー型認知症では、これらの起始核が初期から脱落しています。

マイネルト基底核が活性化する事によりグリア細胞のアストロサイト内のカルシウム濃度が上昇して、細胞外D-セリン(アミノ酸の一種)が上昇、NMDA受容体(記憶形成に必須とされているグルタミン酸受容体の1種)が活性化され記憶の形成に重要な大脳皮質のシナプス可塑性を誘導する。
大脳基底核の機能

大脳基底核の機能
前脳基底部・マイネルト基底核の位置図
記憶を司る重要な記憶回路としてPapezとYakovlevが知られています。

Papez回路
海馬 → 脳弓 → 乳頭体 → 乳頭体視床路 → 視床前核 → 帯状回(24野) → 海馬という閉鎖回路を形成。

Yakovlev回路
側頭葉皮質前部(38野) → 扁桃体 → 視床背内側核 → 前頭眼窩皮質 → 鉤状束 → 側頭葉皮質前部という回路を形成。






























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