有機化合物・高分子化合物・分子(生命活動に欠かせない物質)
有機化合物であるアミノ酸(Amino Caid)は、体内で合成できないアミノ酸を、必須アミノ酸と呼ばれている。
高分子化合物のタンパク質(Protein)は、構成するアミノ酸の数や種類、また結合の順序によって種類が異なり、連結したアミノ酸の個数が少ない場合にはペプチドと言い、これが直線状に連なったものはポリペプチドと呼ばれている。タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素として知られていて、身体をつくる役割も果たしている。
酵素(Enzyme)は、生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子です。
よく耳にする用語を、あいうえお順に解説。
(詳細は、下線部分をクリック)
Page Contents
・アミノ酸 ・蛋白質 ・酵素
そのほか用語解説
・神経伝達物質の用語解説集 ・神経細胞・受容体の用語解説集
・中枢・末梢神経系の用語解説集 ・パーキンソン病(症状・くすり)の用語解説
Amino
アミノ酸の解説集
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
アミノ酸
か行
英語 |
日本語 |
解説 |
Glutathione
(GSH) |
グルタチオン |
アミノ酸が3つ連なったトリペプチド(化合物)。
L-グルタミン酸(非必須アミノ酸)、L-システイン
(非必須アミノ酸)とグリシン(非必須アミノ酸)からなる
ペプチド(化合物)。
生体内では、抗酸化物質として活性酸素などの酸化ストレス
から細胞を防御する重要な役割を持ちます。
また、グルタチオンは、肝臓に多く含まれますが、
そこで体内の異物を解毒する際にも必要な化合物です。
脳内においては、酸化物や活性酸を消去し神経細胞の脱落、
変性を抑えます。
グルタチオンを経口投与しても吸収される小腸までに行くのに
破壊されほとんど吸収されないが、L-グルタミン、
N−アセチルシステイン、α-リポ酸、シリマリン・フラボノイド
(マリアアザミに含まれる)が加わった抗酸化物質
(グルタチオン錠剤)では吸収され血清の内在量レベルを維持
したり上昇させる事は可能です。
日本においてグルタチオンは、自家中毒、つわり、妊娠中毒、
薬物中毒、慢性肝炎の治療。
米国において指先のしびれ(末梢神経障害)、閉塞性動脈硬化症
など様々な疾患の治療に用いられていて副作用の非常に少ない薬
として知られています。 |
アミノ酸
さ行
英語 |
日本語 |
解説 |
Serine |
セリン |
タンパク質合成後に修飾を受けて作られるヒドロキシメチル基を持つ
アミノ酸。
キモトリプシン、トリプシンなど多くの酵素の活性中心に存在する部分
構造に含まれ重要な役割を果たします。
セリン酵素反応を阻害すると毒性を発揮する。
例えると、神経伝達物質のアセチルコリンがその役目を終え、
アセチルコリンエステラーゼがすぐに破壊して活性を失わせるが、
これが作用しないと過剰のアセチルコリンが蓄積される事により痙攣など
発作を誘発して死に至らしめる。
蛋白質の構成要素としては、生体内におけるシグナル伝達の際にキナーゼ
によってリン酸化されます。
リン酸化されたセリン残基はホスホセリン(リン酸とセリンの化合物)と
呼ばれています。
セリンプロテアーゼとは、セリン、ペプチド結合加水分解酵素、蛋白質の
分解酵素。 |
アミノ酸
た行
英語 |
日本語 |
解説 |
Tyrosine |
チロシン |
必須アミノ酸。
蛋白質を構成するアミノ酸で、生体内ではフェニルアランから生成
され、チロシンヒドロキシラーゼ酵素によってドーパミンを合成。
また、
甲状腺ホルモン(チロキシン)トリヨードチロニンやメラニン色素
の前駆物質。
チロシンを大量に飲用した場合は約2時間後に血中チロシン濃度の
ピークに達し7時間持続。
チーズ、納豆や味噌、絹糸などに多く含まれています。 |
Tryptophan |
トリプト
ファン |
必須アミノ酸。
食品中のタンパク質が多いほど多く含まれる。
肉、赤身魚、納豆、アーモンド、ナッツ、チーズ、そば、などに
豊富に多く含まれています。
適量の摂取は神経を落ち着かせる作用がありますが、摂り過ぎる
と肝硬変を招く。
代謝経路 |
組織 |
解説 |
キヌレニン
経路 |
肝臓 |
インドールアミン酸素添加
酵素によりL-キヌレニンを
経てキヌレン酸へ。
(ヒトで約95%) |
セロトニン
経路 |
腸・脳
肥満細胞 |
セロトニン・メラトニンの
合成に向かう経路。 |
グルタル酸
経路 |
肝臓 |
キヌレニン経路を経て
2-アミノ-3-カルボキシム
コン酸セミアルデヒドから
エネルギー源として代謝
され完全分解に至る経路。 |
NAD経路 |
肝臓 |
キヌレニン経路を経てキノリ
ン酸から NAD の合成に向か
う経路。 |
トリプタミン
経路 |
ー |
脱炭酸によるトリプタミンの
合成に向かう経路。 |
インドール
経路 |
ー |
脱アミノによるインドール
ピルビン酸の合成に向かう
経路。 |
蛋白質合成 |
全細胞 |
タンパク質を構成するアミノ
酸のひとつとして使用。 |
その他 |
腸内細菌 |
腸内細菌や真菌によるイン
ドールへと合成される経路。 |
|
アミノ酸
は行
英語 |
日本語 |
解説 |
Phenylalanine
hydroxylase |
フェルニ
アラニン |
必須アミノ酸。
タンパク質を構成するアミノ酸で、芳香族アミノ酸に属します。
フェニルアラニンヒドロキシラーゼは次の2種の酵素と密接に
関係しています。
@トリプトファンヒドロキシラーゼ酵素によりセロトニンを合成:
脳と消化器でのセロトニン濃度をコントロール。
Aチロシンヒドロキシラーゼ酵素によりカテコールアミンを合成:
脳と副腎髄質でのドーパミンとアドレナリンおよび
ノルアドレナリンの濃度をコントロール。 |
Peptide |
ペプチド |
アミノ酸が繋がって出来た分子。生体内で産生されるペプチドは、
@リボソームぺプチド、
A非リボソームペプチド、
B消化ペプチドと大別されます。
ペプチド用語:
・蛋白質(protein)、50以上のアミノ酸からなる1つ以上の
ポリペプチド。
・オリゴペプチド(oligopeptide)、30-50アミノ酸以下の長さの
ポリペプチド。
・ペンタペプチド(pentapeptide)、5つのアミノ酸からなる
ペプチド。
・テトラペプチド (tetrapeptide)、4つのアミノ酸からなる
ペプチド。
・トリペプチド (tripeptide)、3つのアミノ酸からなるペプチド。
・ジペプチド (dipeptide) 、2つのアミノ酸からなるペプチド。
・神経ペプチド、神経組織に関係して活動するペプチド。
・ペプチドホルモン、ホルモンとして活動するペプチド。
(ポリペプチドとは、アミノ酸の線形の鎖)
ペプチド群:
・バソプレシン、・オキシトシン 。
・タキキニンペプチド:P物質、カッシニン、ニューロキニンA、
ニューロキニンB、エレドイシン。
・血管作動性腸管ペプチド:下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化
ペプチド 、PHI 27、PHM 27、成長ホル
モン放出ホルモン、グルカゴン、
セクレチン。
・膵臓(すいぞう)ペプチド:NPYPYY ペプチドYY、トリ膵臓
ポリペプチド 、ヒト膵臓ポリペプチド。
・オピオイドペプチド:プロオポオメラノコルチン、
エンケファリン、プロジノルフィン。 |
|
蛋白質
蛋白質の解説集
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
蛋白質
あ行
英語 |
日本語 |
解説 |
Amyloid
beta
protein |
アミロイドβ |
アミロイドベータ蛋白質は、40アミノ酸程度のペプチド。
脳内で過剰に生産され蓄積すると、老人斑とよばれる凝集体が
形成される。
アルツハイマー型認知症の患者の脳に多数の老人斑がみられる
ことから、アルツハイマー病の原因物質と考えられている。
アミロイドβ蛋白質の蓄積はアルツハイマー病発症の25年前から
始まると報告されています。 |
Alpha
synuclein |
アルファ-
シヌクレイン |
α-シヌクレインは、SNCA遺伝子により変換されたアミノ酸
(140残基)からなる可溶性蛋白質で、シナプス前終末と核に
存在して、シナプス小胞の伝達
制御・可塑性などの機能に関わると考えられています。
細胞質中のタンパク質の約1%にのぼり、α-シヌクレインは主に
大脳新皮質、海馬、黒質、視床および小脳に発現。
視床では細胞質・ミトコンドリア内部ともに高濃度の
α-シヌクレインが存在しますが、一方 大脳皮質と小脳では
細胞質には豊富に存在するもののミトコンドリア内部には、
ほとんど存在しない。
ミトコンドリア内部のα-シヌクレインは、内膜上に局在している
こと、そして濃度依存的にミトコンドリア呼吸鎖の複合体に対し
て阻害的に作用する事も知られています。
ミトコンドリア内部でのα-シヌクレイン発現のしかたは脳内の
部位によって異なり、この発現の程度が、ミトコンドリア機能に
影響し、また、神経変性を起こしやすくなる潜在的因子である
可能性があります。
神経伝達物質放出において、シナプス小胞と細胞膜の融合に
かかわる物質(SNAREタンパク質複合体 ) の形成に際して、
α-シヌクレインが分子シャペロン他のタンパク質分子が正しい
折りたたみ(フォールディングをして)機能を獲得するのを
助けるタンパク質として働いている可能性が示唆されている。
細胞膜のリン脂質と、シナプス活性化の際には特に重要で、
α-シヌクレインが神経細胞のゴルジ装置や小胞輸送の
機能に関わわっています。
パーキンソン病の患者の黒質細胞では、レヴィ小体
(Lewy body)といわれる好酸性の蛋白質の固まりを認め
ており、異常蛋白質の細胞内蓄積を認める事から、これらを
構成する。
アルファーシヌクレインの過剰蓄積やこれらを分解する細胞内
機構の障害が、ドーパミン産生細胞脱落の原因として指摘されて
います。
α-シヌクレインの蓄積は、パーキンソン病をはじめとする
神経変性疾患 (いわゆるシヌクレイノパチー) の原因とされて
いる。凝集の阻害(α-シヌクレインの原線維かを阻害)する
物質としてクミンアルデヒドが知られている。
パーキンソン病の発病原因として、アルファーシヌクレインの蓄積
が嗅球(嗅覚)、延髄から始まり、徐々に上行して中脳に至り、
最終的には大脳皮質に達する(Braakの仮説)が提唱され議論
されている。 |
Autophagy |
オ-トファジ- |
細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組み
の一つで、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、
過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときに
タンパク質のリサイクルを行ったり、
細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性
維持に関与。
オートファジーでは、一度に多くのタンパク質が分解されるので、
バルク分解とも呼ばれています。オートファジーのメカニズムの
違いから
(1)マクロオートファジー、
(2)ミクロオートファジー、
(3)シャペロン介在性オートファジーの3つに分けられています。
タンパク質分解には、ユビキチン・プロテアソーム系とオート
ファジーがあります。 |
Oligomer |
オリゴマ- |
高分子の単位(例えばタンパク質)、もしくは低分子の単位
(単糖、ヌクレオチド、アミノ酸)が結合したもの。構成する
単位の数によってダイマー、トリマー、テトラマーなどといい、
オリゴマーはこれが数個までのもの。 |
蛋白質
さ行
英語 |
日本語 |
解説 |
Septin |
セプチン |
重合性グアノシン三リン酸(GTP)結合蛋白質。
セプチン重合体は多様な分子の足場ないし拡散障壁となり、樹状突起・
軸索・繊毛・鞭毛の形成、微小管系やアクトミオシン系の制御、細胞
分裂、分泌小胞の開口放出など多彩な生命現象に関与する。
SEPT4、SEPT9 が家族性神経痛性筋萎縮症の原因となるほか、
パーキンソン病や統合失調症では複数のセプチンの量的・質的異常が
伴って起こる。
マウスの脳におけるセプチン・ユニットの発現 |
セプチン |
大脳皮質 |
嗅球 |
海馬 |
線条体
淡蒼球 |
視床
視床下部 |
Sept03 |
* |
* |
** |
* |
* |
Sept04 |
* |
* |
* |
* |
* |
Sept05 |
* |
* |
** |
* |
* |
Sept06 |
* |
* |
* |
* |
* |
Sept07 |
* |
* |
* |
* |
* |
Sept08 |
* |
ー |
* |
ー |
ー |
Sept09 |
** |
* |
** |
* |
* |
Sept10 |
* |
* |
* |
* |
* |
Sept11 |
* |
* |
* |
* |
* |
セプチン |
中脳
橋
延髄 |
小脳 |
ー |
神経細胞
グリア細胞 |
シナプス
前後部 |
Sept02 |
ー |
* |
ー |
-/+ |
-/- |
Sept03 |
* |
** |
+/- |
+/+ |
Sept04 |
* |
** |
+/+ |
+/- |
Sept05 |
* |
* |
+/+ |
+/+ |
Sept06 |
* |
* |
+/+ |
+/+ |
Sept07 |
* |
** |
+/+ |
+/+ |
Sept08 |
ー |
* |
+/+ |
? |
Sept09 |
* |
** |
+/+ |
? |
Sept10 |
* |
* |
+/+ |
? |
Sept11 |
* |
* |
+/+ |
? |
*SEPT3,5はニューロンに発現して樹状突起棘や軸索末端に局在し、
SEPT2,4はグリアに発現して突起の特定の膜ドメインを裏打ちする。 |
SNARE
Protein
|
スネア蛋白質 |
スネア蛋白質は,小胞とターゲット膜の融合を司るタンパク質ファミリー
で、細胞内の分泌経路の種々のオルガネラに固有の分子種が存在しており、
動物細胞では少なくとも36種類の存在が報告されている。60-70アミノ酸
からなる。α-ヘリックス構造(SNAREモチーフ)を有し、多くの分子種で
はこのモチーフの後にC末端膜貫通領域が存在する。
小胞側に存在するVesicle-SNARE
(構造的特徴からR-SNAREとも呼ばれる)とターゲット膜側に存在する
Target-SNARE(別名Q-SNARE、Q-SNAREは
さらにQa、Qb、Qcの3種類に分類される)に分けられる。
SNAREは最初、脳抽出液のSNAP(SNAPにはα、β、γの3種類がある)に
結合するタンパク質として同様とされた(それゆえ、SNAP receptor)。
脳SNAREはSyntaxin 1(Syn1)、SNAP-25、VAMP-2から構成され、
これらはいずれもシナプス小胞の開口分泌に関与するタンパク質として
同様とされている。 |
蛋白質
た行
英語 |
日本語 |
解説 |
Tau protein |
タウ蛋白質 |
タウ蛋白質は、中枢神経細胞に存在する微小管結合蛋白質の一つ。
アルツハイマー型認知症の患者の脳には、老人斑と共に、異常に
リン酸化
されたタウ蛋白質の沈着物(神経原線維変化)が見られます。
アルツハイマー病発症の15年前からタウ蛋白質の蓄積が始まる
との報告があります。
最初に蓄積される部位は海馬傍回と示唆されています。
海馬は記憶の中枢で、神経細胞が変性により萎縮、そのため
記憶力が低下してアルツハイマー病が発症と考えられています。 |
蛋白質
は行
英語 |
日本語 |
解説 |
proteasome |
プロテアソ−ム |
タンパク質の分解を行う巨大な酵素複合体です。
細胞周期制御、免疫応答、シグナル伝達といった細胞中の
様々な働きに関わる機構です。
タンパク質分解には、ユビキチン・プロテアソーム系と
オートファジーがあります。 |
Prion |
プリオン |
プリオンは、感染性のない正常型プリオン蛋白質、感染性の
ある異常型プリオン蛋白質に分けられます。正常型プリオン
は、機能や働きに不明な点が多い。一方、異常型プリオン
(ミスフォールド型)は、ウシ海綿状脳症(BSE、もしくは
狂牛病)、
人のクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因とされる感染因子。
いずれもタンパク質の誤って折りたたまれた
(ミスフォールド型)タンパク質そのものが自己複製すること
は無く、この過程は宿主生物内のポリペプチドの存在に依存
している。
両者のアミノ酸配列は同じであるが、唯一立体構造が相違
している事が知られ、
遺伝子を持たない特殊な病原体で、タンパク質から成る
プリオンタンパク質そのものが感染性病原体である。
普通の細菌やウイルスを死滅させるどのような方法でも
感染能力を消失させる事ができない。
種々の哺乳類に見られる多くの疾患に関与することが判って
いる。 |
蛋白質
ら行
英語 |
日本語 |
解説 |
Lewy Body |
レヴィ小体
(レビー小体) |
レヴィ小体は、アルファーシヌクレインと結合するユビキチン・
ニューロフィラメント蛋白質・アルファーBクリスタリンと
いった蛋白質で、リン酸化されている。
中枢および末梢の神経細胞に出現する好酸性の細胞質封入体で、
電子顕微鏡では、中心部に緻密物質、周囲に放射状の細線維が
認められる。
ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、アセチルコリン
を分泌する神経細胞に好発するが、詳しい出現、機序はよく
わかっていません。
パーキンソン病では、中脳黒質のドーパミン神経が変性脱落
したところにレヴィ小体ができています。
レヴィ小体が形成される部位は、黒質、動眼神経核、青斑核、
迷走神経背側核などの脳幹諸核に広汎に形成される。
大脳ではマイネルト基底核、視床下部、扁桃核の神経細胞内
にも形成。末梢神経系では交感神経節、副交感神経節、腸管の
神経叢、副腎にレヴィ小体は出現する。
細胞体内だけでなく、神経突起内にも形成される。
細胞外に放出されたレヴィ小体も存在する。
Braak仮説によると、α-シヌクレイン蛋白質におけるLewy小体
の分布は、
1)嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 海馬 → 扁桃体 → 中枢神経系へ。
2)腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 → 迷走
神経背側運動核 → 青斑核・橋 → 黒質へ。
前脳基底部、大脳皮質(精神症状に関与)に分布すると示唆
されている。末梢の自律神経節にも好発。
また、発現は、プリオン蛋白質のプリオン株にアミロイド線維
が感染物質であり出現するとのプリオン説、細胞障害性に作用
しているα-シヌクレインと数種類の蛋白質が結合した
(オリゴマー)で、レヴィ小体は、これらを無毒化するために
生じた最終産物であるとの仮説が提唱されている。
レヴィ小体型認知症では、大脳皮質やマイネルト核にもレヴィ
小体が広く見られます。また、認知障害だけでなく
パーキンソン病の様な運動障害も併発。
この疾患特有の症状として、幻覚(幻視)や妄想などが
あげられます。
非常にリアルな幻視が現れると考えられ、患者本人は具体的に
「そこに人がいる」などと訴える。
アルツハイマー型認知症と違い、図形描写が早期に障害される
ことが多く、後頭葉の障害によって出現するものと考えられ
ます。
レヴィ小体の原因、αシヌクレインの凝集を阻害する物質には、
クミンアルデヒド
(ユーカリ、ミルラ、カシア、クミンに含まれる)、
ピロロキノリンキノン
(納豆、豆腐、緑茶、パパイヤ、ピーマン、パセリに含まれ
る)。 |
蛋白質
や行
英語 |
日本語 |
解説 |
Ubiquitin |
ユビチキン |
アミノ酸からなるタンパク質で、他のタンパク質の修飾に用いられ、
異常なタンパク質を細胞から分解、除去、DNA修復、翻訳調節、
シグナル伝達などさまざまな生命現象に関わる重要な役割を持って
います。ユビキチンにより標識
されたタンパク質をプロテアソームで分解を
ユビキチン・プロテアソーム システムと呼ばれています。
タンパク質分解には、ユビキチン・プロテアソーム系と
オートファジーがあります。 |
|
酵素
酵素の解説集
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
酵素
か行
英語 |
日本語 |
解説 |
Catechol-O-
methyltransferase
(COMT) |
カテコール-O-
メチルトランス
フェラーゼ |
細胞内 基転移酵素。
神経伝達物質のカテコールアミン
(ドーパミン、アドレナリン及びノルアドレナリン)
を分解する酵素。
カテコールアミンの調節が疾患により損なわれた
とき、いくつかの調合薬はCOMTを標的として
その活性を変化させ、カテコールアミンが供給
させる。
カテコールアミンの前駆体の一つであるレボドバ
はCOMTの重要な基質の一つです。
COMT阻害薬(エンタカポン)は、抗パーキンソン
薬として使われています。
COMT阻害して血液関門を通過できるレボドバ量を
多くする。
(血液関門までの経路でレボドパからのドーパミン
代謝を阻害)
ドーパデカルボキシラーゼの阻害剤(カルビドパと
ベンセラジド)を投与したときも同じ作用がある。 |
Glucocerebrosidase
( GBA ) |
グルコセレブ
ロシダ−ゼ |
グルコセレブロシダーゼ (GBA)とは、細胞内
リソソームに局在する加水分解酵素。
生体糖脂質であるグルコセレブロシドの糖と
脂質の脱水縮合部位を分解する酵素。
パーキンソニズムとジストニアを中心とした
神経症状は、原因遺伝子は、ATP13A2とPLA2G6。
ATP13A2蛋白質は、リソソーム内のpHの維持を
行い、脂質代謝において脂質のリサイクルに関与し
ている。
リソソームは細胞内の小器官、なかでもミトコン
ドリアに鉄を供給する役割をもっており、
リソソームに障害があるとミトコンドリアの鉄代謝
に影響を及ぼすと考えられる。
他にも糖脂質を分解するライソゾーム酵素、GBAの
欠乏によるゴ−シェ病(Gaucher)を発病し、パーキン
ソンニズムを合併しやすく鉄の沈着もみられている。
また、PLA2G6蛋白質はミトコンドリア内膜のリン脂
質(phospholipid)代謝に関与し、脂質二重膜の維持
を行っていると考えられている。 |
Cholinesterase
(ChE) |
コリン
エステラーゼ |
分解酵素(コリンエステル類を加水分解)。
・アセチルコリンエステラーゼ(AChE):
神経組織、赤血球などに存在。コリン作動性神経
(副交感神経、運動神経、交感神経の中枢〜神経節)
の神経伝達物質アセチルコリンを酢酸とコリンに
分解する。真性コリンエステラーゼ。
この酵素が阻害されると副交感神経が過剰に刺激
され骨格筋は緊張状態に成り心臓停止、死に至り
ます。
・ブチリスコリンエステラーゼ(BuChE):
肝臓、血清などに存在する。AChを含む様々な
コリンエステル類を分解する。
健康診断などで検査されるChEは、こちらの方で
ある。高値の場合はネフローゼ症候群、脂肪肝
など、低値の場合は肝硬変、肝炎、有機リン系
薬物中毒(有機リン系の農薬中毒、サリン
などの神経ガス中毒)などが疑われる。
偽コリンエステラーゼと2種類が確認されている。 |
酵素
ま行
英語 |
日本語 |
解説 |
Monoamine oxidase
(MAO)
|
モノアミン
酸化酵素 |
酸化促進酵素。モノアミン
(セロトニン、ヒスタミン、カテコールアミン)
神経伝達物質の酸化を促進。
モノアミン酸化酵素は、生体のほとんどの細胞において
ミトコンドリア外膜に閉じ込められた状態で存在します。
シナプスから放出された神経伝達物質モノアミンを酸化
除去を行います
モノアミン酸化酵素には、MAO-A、MAO-Bがあります。
双方とも神経系やアストログリア(星状膠細胞)に
おいて存在し、
MAO-Aは、肝臓や胃腸、胎盤にも存在しノルアドレナ
リンとセロトニンのバランスを調整。
MAO-Bは、主に血液血小板に存在してドーパミンの調整。
MAO-B阻害薬(セレギリン)は抗パーキンソン薬として
使われています。
モノアミン酸化酵素は、ドーパミンやセロトニンを分解
しますが、MAO-Bを選択的に阻害することで、
ドーパミンから生成されるノルアドレナリンの生成を
阻害してドーパミン濃度を高める働きがあります。
脳内のドーパミン濃度を40〜50%上げるとの報告が
あります。(薬名:エフピー) |
|