介護を通して神経系の仕組みは??と慰問が生まれてきます。気の付いた点、ひらめいた点を紹介します。
神経系は、構造のうえから脳・脊髄・末梢神経に分けられ、脳と脊髄を中枢神経系、末梢神経から送られてくる情報を受け、それに応じて指令を発するコントロールシステムの役割を果たしています。
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ドーパミン神経の種類ドーパミン作動性・神経細胞の種類神経伝達物質(ドーパミン)を放出する脳内の神経細胞を紹介。 ドーパミン神経系は、A8~17。 ノルアドレナリン神経系は、A1~7。 アドレナリン神経系は、C1~3。 A8~A10神経群は中脳に位置し、A11~A15神経群は、間脳に位置します。 A1~A3は、延髄に位置。A4~A7は、橋に位置します。 ドーパミン神経細胞群の分類 ・A8細胞群: 赤核後方部 (RRF) → 中脳辺縁系に投射する。A10細胞群と共に大脳辺縁系に投射し、中脳辺縁系を構成する。 ・A9細胞群: 黒質・緻密部(SNc) → 線条体(尾状核と被穀)へ投射する。黒質線条体系を構成する。黒質線条体系に脳全体のドーパミン量80%を占める。 黒質線条体系は錐体外路系の一部で、この部位のD2受容体遮断に関連し運動系が支障を 起こす。 線条体でGABA(伝達物質)により抑制制御がされないと、アセチルコリン神経が活性化と成りGABA神経の興奮 → 視床下核の興奮 → 視床の抑制 → 錐体外路障害を生じる。 前頭葉のNMDA受容体やドーパミン受容体の異常によってドーパミンの分泌が亢進し、D2受容体を刺激してしまうため、視床が興奮して、知覚過敏の状態になる錐体外路症状を生ずる。また、D2受容体が長期に遮断されると、遅発性ジスキネジア などの運動障害を引き起こす。 パーキンソン病患者では、黒質・緻密部にあるドーパミン神経細胞の変成、脱落により、 線条体で 放出されるドーパミンが減少して、無動、筋固縮、振戦などの運動症状が生じる。 パーキンソン病に対するドーパミン補充療法は、黒質線条体系を刺激してその運動症状を改善するが、同時に中脳皮質辺縁系も刺激されるので、ドーパミン作動薬による薬物依存・離脱症状、薬物の血中濃度の高低変化で出現する不快な身体症状、不眠、不安、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚、体感幻覚)が生じる可能性がある。一部はA10細胞群と共に前頭前皮質に投射し、中脳 皮質系を構成する。 ・A10細胞群: ①腹側被蓋野 (VTA) → 辺縁系(側坐核・海馬・扁桃体・嗅結節・中隔・梨状葉)の情動回路と ②腹側被蓋野 (VTA) → 皮質系(前頭前野)不安で活性化される回路に投射。 行動および情動(感情)に関与すると言われ、統合失調症の陽性症状との関連も示唆されている。 ① 快の情動回路の作動を例えると「さすってもらったら痛みが収まった」快情報として扁桃体が認識 → 記憶 として海馬へ格納。この快の記憶が原因で扁桃体がA10を活性化 → A10活性化によるドーパミンが側坐核を 興奮させて、視床内背側核 → 前頭前野 → Yakovlevの情動 回路を作動させて、快の情動行動を起こす方向へ と進む。 ② 皮質系(前頭前野)不安で活性化される回路は、不安やストレスにより活性化し、負の行動を起こす 統合失調症の陰性症状の発現。 ストレス刺激がA10経路を活性化すると、前頭前野のドーパミンD1受容体を介して前頭前野の行う認知・ 思考・ワーキングメモリ等の機能を抑制。 ・A11細胞群: 間脳後部 → A13、 A14細胞群と共にに視床下部、脊髄側角に投射し、視床下部脊髄路を構成する脊髄後角/ 三叉神経脊髄路核の侵害受容神経細胞に対する抑制に関与。片頭痛を制御していとの示唆れている。 A11細胞群機能の低下により、レストレスレッグス症候群、下肢静止不能症候群、むずむず足症候群の症状が 起る。出現症状は、下肢を中心に不快な異常感覚が、特に夕方から深夜にかけて出現。「むずむずする」 「じっとしていられない」「痒い」「ピンでなぞられているような」「針で刺すような」「火照るような」 「蟻やミミズなどの虫が這っているような」などの異様な感覚が現われ、時には「振動」を感じる場合もある。 ・A12細胞群: 視床下部・弓状核 → 正中隆起、下垂体中間葉、下垂体後葉に投射。隆起漏斗ドーパミン作動系を構成する。 下垂体ホルモン調整を行っている。 ・A13細胞群: A11細胞群の一部と共に視床下部に投射し、不確帯視床下部ドーパミン作動系を構成する不確帯 (zona incerta, ZI)。 ・A14細胞群: A11細胞群の一部と共に視床下部に投射し、不確帯視床下部ドーパミン作動系を構成する。 ・A15細胞群: 視床下部のドーパミン細胞群。 ・A16細胞群: 嗅球のドーパミン細胞群。 ・A17細胞群: 網膜のドーパミン細胞群。 |
神経細胞のシナプス伝達イメージ図 |
ドーパミン受容体の種類ドーパミン受容体の種類ド-パミン受容体は、D1、D2、D3、D4、D5受容体と5種類あるとわかっています。 ドーパミンが受容体と結合すると神経細胞に電位変化が起こったり、細胞内の情報伝達系が動いてさまざまな変化を受け手の神経細胞に引き起こします。役目を終えたドーパミンはまた神経末端のシナプスにあるドーパミントランスポーターに、たんぱく質として取り込まれて再利用される仕組みになっています。 受容体は、興奮性、抑制性と2つに分類されていますが、まだ不明点が多く単純ではなさそうです。 ・興奮性を担う受容体:D1、D5受容体。 ・抑制性を担う受容体:D2、D3、D4受容体。 D1受容体: 中枢神経系で最も豊富なドーパミン受容体で神経細胞の成長を調節。線状体背側部に発現が見られ 、黒質に投射する。腎血管や腸間膜動脈にも存在し、血管拡張をもたらす。そのほかいくつかの行動反応に関係。 D2受容体: 筋緊張異常や統合失調症に関連していると考えられています。線状体背側部に発現が見られ淡蒼球に投射する。ドーパミン作動性神経細胞や軸索終末部にも存在し、ドーパミンの産生・放出制御を行う。ドーパミン神経系のA12細胞群のドーパミンは、下垂体前葉のプロラクチン産生の細胞のD2受容体に作用し、プロラクチン分泌を抑制する。 D3受容体: 大脳辺縁系に局在、認知的および感情的な機能に働くことを示し、統合失調症やパーキンソン病の治療薬の標的です。 D4受容体: 認知や情動と関連している大脳皮質や辺縁系に多く存在。統合失調症やパーキンソン病の治療薬の標的。行動表現型に関連していると考えられています。 統合失調症死後脳の線条体ではD4受容体が著しく増加していることを示された。 D5受容体: 脳の辺縁領域の神経細胞で見られ、D1受容体よりも10倍高いドーパミン親和性をもつのが特徴。 |
神経細胞とシナプスのイメージ図 |
パーキンソン病では、黒質 → 線条体(背側)の神経細胞の変性により線条体のドーパミンの枯渇により発生と言われています。また、ドーパミン トランスポーターの顕著に低下がみられます。 パーキンソン病は、運動障害、非運動障害も来たす病気で、非運動障害の中には、神経精神症状(うつ、幻覚、認知症など)、睡眠症状 (むずむず足症候群、REM(レム)睡眠関連行動異常(寝言、夜驚症など、日中過眠など)、感覚症状 (痛み、締め付け感)。 自律神経障害には骨盤臓器障害 (過活動膀胱・便秘)、流涎、嚥下障害、胃部不快、起立性低血圧、四肢の冷え、網状皮斑、発汗異常、脂漏性顔貌、体重減少などが含まれます。 |
末梢神経図脊髄・末梢神経系図 (交感神経・副交感神経節) |
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末梢神経系の働き末梢神経の働き体の隅々にまで張りめぐらされた末梢神経は、体の動きにかかわる神経で、感覚神経と運動神経があります。 目や耳や皮膚などを使って、見たり、聞いたり、触れたりして集めた情報は、感覚神経を通って、脳へ伝えられ,それらの情報は整理され脳から指令が出されて運動神経を通って手や足など体の必要な部位に伝達されます。一方、自律神経とは意思に関係なく独立して働き、内臓や血管の活動、呼吸などをコントロールしており、交感神経と副交感神経の2種類があり、この2つの神経は、主に1つの器官に対して相反して働きます。 それによって、うまくバランスをとって各器官を調節しているのです。 末梢神経の種類 (中枢神経から出力、入力する神経) 第01脳神経 – 嗅神経、 第02脳神経 – 視神経、 第03脳神経 – 動眼神経、 第04脳神経 – 滑車神経、 第05脳神経 – 三叉神経、 第06脳神経 – 外典神経、 第07脳神経 – 顔面神経、 第08脳神経 – 内耳神経、 第09脳神経 – 舌咽神経、 第10脳神経 – 迷走神経、 第11脳神経 – 副神経、 第12脳神経 – 舌下神経。 末梢神経の分類 ・体性神経系(身体の運動や感覚機能を司る) : 遠心性(運動神経)、 求心性(感覚神経)。 ・自律神経系 (循環・呼吸・消化など各種の自律機能を司る): 遠心性 (交感神経と副交感神経、興奮を中枢から末梢に伝える )、 求心性 (内臓の感覚神経、末梢からの興奮を中枢へ伝える)。 末梢神経の働きと起点(担当)部位
Braak仮説:嗅粘膜と腸管の上皮から病原体(neurotropic pathgen)が侵入して、Lewy小体を形成してパーキンソン病を起こす。病原体の侵入経路は、 1)嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 中枢神経系へ。 2)腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 → 迷走神経背側運動核へ。 |
中枢神経系の働き中枢神経系の働き (ドーパミンが関与)神経系の中枢をなす脳と脊髄で、全神経の統合・支配など中枢的役割を果たしている部分。受けた情報をとらえて音声・運動・反射などを指令、自律機能などの働きを行っています。 運動機能 黒質ー線条体路が運動調節に重要な役割を果たすことが広く知られている。パーキンソン病では黒質のドーパミン細胞の変性による線条体ドーパミン量の低下が生じ、静止時振戦、筋固縮、無動などの運動機能の障害が生じる。腹側被蓋野から主な投射を受ける側坐核もドーパミンによる運動調節に寄与する。 一般に実験動物において、細胞外ドーパミン濃度を上昇させる精神刺激薬やドーパミン受容体アゴニストは活動量を増加させ、ドーパミン受容体アンタゴニストは活動量を低下させる。線条体には主にD1受容体とD2受容体が発現しており、D2受容体欠損マウスでは活動量の低下が見られるが、D1受容体欠損マウスでは活動量が上昇することもある。D1受容体アンタゴニストは活動量の低下を起こすが、この効果はD1受容体欠損マウスでは抑制されている。また、D1受容体欠損マウスは発育不全を示すが、その原因の一部は運動機能の異常にあると考えられる。 D5受容体欠損マウスでもD1受容体アゴニストや精神刺激薬の効果が低下するため、D5受容体も運動調節に寄与する。大脳皮質運動野にも中脳からドーパミン神経の投射がある。この経路の機能の詳細は不明であるが、運動学習に関与することが示唆されている。 認知機能 ドーパミンは学習・記憶、注意、実行機能などの認知機能を調節することが示されており、特に作業記憶に対する寄与に関して多くの知見が存在する。 主にサルを用いた研究によって作業記憶課題中に前頭前野のドーパミンレベルが上昇し、前頭前野に対する ドーパミン神経毒の注入、D1様受容体の遮断や過剰な活性化によって課題遂行が阻害されることが示されている。前頭前野のみならず線条体のドーパミン系も作業記憶に関与することが示されており、パーキンソン病患者では作業記憶等の認知機能の障害が見られる。 海馬に対するドーパミン神経毒や受容体アゴニストの注入によって、空間記憶の保持や作業記憶課題が変化する。D1受容体欠損マウスでは恐怖記憶の消去や空間学習の障害が生じる。 報酬機能 大脳皮質・辺縁系路が報酬に対する応答を司る報酬系として機能し、特に側坐核が重要な役割を果たすことが 知られている。依存性薬物は全てこれらのドーパミン神経系に標的を持ち、ドーパミン濃度を上昇させる。 この神経系は嫌悪刺激に対する反応にも寄与すると考えられており、腹側被蓋野に対する入力の違いに よって報酬と嫌悪が分かれることが光遺伝学的手法によって示されている。また、黒質 → 線条体路も報酬 に関与することが示されている。 神経内分泌 視床下部の隆起漏斗路のドーパミン神経系は下垂体からのプロラクチン放出を抑制する。この神経系ではドーパミンは毛細血管近傍に放出されて門脈を介して下垂体前葉に到達する。ドーパミンはD2受容体を介してプロラクチン分泌細胞胞内のCa2+濃度を低下させてプロラクチン分泌を抑制する。さらに、プロラクチン遺伝子の発現を抑制し、プロラクチン分泌細胞の分裂を抑制すると考えられている。抗精神病薬などのD2遮断作用を持つ薬物は高プロラクチン血症を生じさせる。視床下部から下垂体に直接投射するドーパミン神経も存在する。 視覚機能 網膜においてドーパミンはアマクリン細胞と間網状細胞(Interplexiform cell)から放出され、視細胞から神経節細胞へのシグナル伝達とその側方調節の両者の修飾に関与する。ドーパミンはD1様受容体を介して水平細胞のギャップジャンクションのカップリングを抑制することにより、受容野のサイズを減少させる。 網膜の視細胞では、サーカディアンリズムの形成に関与するメラトニンが産生される。メラトニンはドーパミン系に対して拮抗的に作用し、D4受容体によってその生合成が抑制される。D4受容体欠損マウスでは光によるCAMP産生の調節と明順応時の網膜電位に顕著な障害が生じる。
パーキンソン病の運動症状の出現は、Braak仮説によると、抗α-シヌクレイン抗体を用いて高齢者の中枢神経系におけるLewy小体の分布を詳細に検討し、Lewy小体はまず嗅球に出現、迷走神経(延髄)背側核(視床)と、その後、下部脳幹(橋)、中脳黒質、扁桃体へ上行進展して発現させる。 Braak仮説:嗅粘膜と腸管の上皮から病原体(neurotropic pathgen)が侵入して、Lewy小体を形成して パーキンソン病を起こす。病原体の侵入経路は、 1)嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 中枢神経系へ。 2)腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 → 迷走神経背側運動核へ。 |